小説・アニメ・コミック・ゲーム等、様々な創作媒体についての感想やら何やら、あるいは、永遠に敗北者な日常と思考
No.114
2009/11/18 (Wed) 18:48:24
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■葵せきな氏の『生徒会の四散 碧陽学園生徒会議事録4』を読了。4巻まで読んで、ようやくレギュラメンバの名前が、春夏秋冬を表しているのだと気づく。語り手の一人称のため、生徒会メンバがフルネームで記述されることが少ないのだ。また、作中の科白から、どうも舞台は、北海道のようである。作者の方が北海道出身らしいので、その可能性は高い。特別、北国を思わせるようなイベントは、これまでになかったけれど。
例によって、またもやあとがき11ページ。これに関しては、もう少し少なくしてもらいたい。だってこれ、あとがきなのに改行多いし、空行が16行以上あるし、1ページ分が普通に書ける分量になるし。アニメ化決定とか、このライトノベルがすごいにランクインとか、作者が自分で言うのはすご過ぎる。
1冊につき1カ月分物語が進むということなので、3年生が卒業する10巻までは続くのだろう。霧舎巧氏や、西尾維新氏も、1冊1カ月のシリーズがあるけれど(赤川次郎氏は、1年1冊刊行で、作中人物も1年歳を取るという、文庫オリジナルを上手く使ったシリーズがありますね)。とはいえ、5巻で第1部完結ということなので、多少なりとも内容に変化があるような気はする。本シリーズの体裁として、作中作を扱った、なんらかの仕掛けが、どこかで明かされるのかと。
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No.108
2009/11/15 (Sun) 17:35:17
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「ひゃっほーい! とかぼくが唐突に叫びだしたら痛いじゃないか」
■入間人間氏の『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』 記憶の形成は作為』を読了。短編5編収録。本編での語り手の過去エピソードなので、漢字を開いている個所が多いけれど、文章自体が小学生らしからぬ書き方なので、効果的とは思えない。現在からの過去回想という形なら、これまで通りの文章でも通じたろうけど。本編の補足みたいな要素はいくつかあったものの、そうだったのか、なるほど、とも思えない。なんというか、登場人物に、好ましいと思える人がいないのに、どうして購入してまで読んでいるのだろう。惹きつけている何かがあるはずなのだけれど、なんだろうな。
No.106
2009/11/14 (Sat) 16:53:04
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「好意を持ってくれて、本当にありがとう。ものすごく、嬉しいぞ。これからは俺たち、きっとすごくいい友達になれる」
■竹宮ゆゆこ氏の『とらドラ!』を読了。電撃hpを購入していた当時にスピンオフ作品が載っていたので、タイトルは知っていた。アニメが放送されたのを見たときは、堀江由衣氏の人気はものすごいな、と思った程度だったのだが、普通に面白かったので、続けて見てしまった。原作の表紙イラストを見たときに、何故か、現代ファンタジーだと思い込んでいたけれど、日常ものというか、学園ものというか、奇を衒うことのない、至って普通のライトノベルだった。1巻の時点で、なかなかに面白い登場人物を集めている。
No.71
2009/10/14 (Wed) 17:47:42
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「おれ、おまえみたいに本気でしゃべるやつ、他にいてへんと思う。すげえなって思うんや」
■あさのあつこ氏の『The MANZAI5』を読了。文字や記号を使った面白さというものはあって、●●とか( )とか、清涼院流水氏が読んだら悔しがるような文章を書いている。例えば、章を跨いで文が繋がっている箇所があり、何だろうと思って、前ページに戻り、納得する訳である。『バッテリー』のときも感じたけれど、小説ならではの面白さを書ける人だと思う。もちろん、物語の面白さがあってのことだけど。
No.64
2009/10/07 (Wed) 18:44:49
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■入間人間氏の『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん7 死後の影響は生前』を読了。前回のあとがきで、最終巻みたいなことが書いてあったけれど、あとがきもフィクションです、とのこと。表紙イラストが、西尾維新氏の『クビシメロマンチスト』のようで。はてさて。
読みにくい読みにくいと思うくらいに読みにくい。これだけ読みにくい本は初めてだ、と思うくらい。佐藤友哉氏とか舞城王太郎氏とか、改行がなかったり、一文字文の空白を空けなかったりする作家はいるけれど、読みにくいと感じるほどではない。本作は、5章の構成で、3章までを大江湯女という女の子の一人称で書かれているのだが、読むのにめたくたに時間が掛かってしまった。何だろう、島田荘司氏の『占星術殺人事件』冒頭の、梅沢平吉の手記部分を、初めて読んだときと似たような感覚か(内容はまったく違うけれど)。
No.60
2009/10/03 (Sat) 16:55:25
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■葵せきな氏の『生徒会の日常 碧陽学園生徒会黙示録1』を読了。『生徒会の一存』シリーズの番外編なのだけれど、本編自体が短編でありながら、番外編も短編という本作。本編が長編で、番外編は短編という形式を取っている作品が、ファンタジア文庫では多いのに。差別化を図るために、本編とは違った切り口ではあるけれど、本編に書き下ろしとして加えても構わないような気はする。いずれにしても、本編にしろ番外編にしろ、ほとんど動きがないので、感想も大して変わるものではなくて。
No.34
2009/09/07 (Mon) 07:32:05
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「謎は、すべて晴れた! ハレルヤ!」
■おそらく、清涼院流水氏の『探偵儀式 THE NOVEL メフィスト症事件』を読了。メフィスト症だとか、U山H出夫という編集者だとか、原型が何であるかは言わずもがな。本作は、清涼院流水氏の世界観を使用した、大塚英志氏による「JDC TRIBUTE」の『探偵儀式』を、清涼院氏自らが書き下ろしたエンディング、ということだけど、作者が誰なのか明かされない仕掛けになっている。清涼院氏らしからぬ文章を使っているところもあるし、明らかに読者を迷わせるあとがき。そして何より、「本書で語られる『真実』についてのお問い合わせには、いっさいお答えできません。──角川書店編集部」という念の入れよう。清涼院流水大塚英志箸井地図だからこそできたトリックか。
No.28
2009/09/01 (Tue) 00:11:28
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「オレはね、ささやかに生きて死ねれば、それでいいんだ。特別なものは何も望んでいない」
■鏡征爾氏の『白の断章』を読了。流水大賞初の受賞作。リードが些か誇張のような。座談会で、浦賀和宏氏の影響があるように言われていたけれど、そのようには感じなかった。ノワールな感性と言われても、『記号を喰う魔女』には及ばない。座談会で、浦賀氏の名前を出されたのがマイナスに影響してしまったのかもしれない。
少年と少女の物語。心臓を移植された少女は、かつての持ち主の記憶を持ち、犯されて殺された悪夢を殺すため、改造スタンガンを持ち、犯人たちに復讐を続ける。その現場を目撃したのが、とある事件によってサッカー部を辞め、嫌な記憶を忘れようとしても、忘れることのできない高校生の少年。しかし、滝本竜彦氏の『ネガティブ・ハッピー・チェーンソーエッジ』のように、ふたりで一緒にチェーンソー男と戦おう、という展開にはならない。
少女は復讐を目的としているけれど、持ち主の記憶など、少年にとっては信じにくいものであるし、スタンガンを武器に街をうろつく少女と関わりたくはない。成り行き上、少年が少女を助けることが何度かあるものの、少年は少年で、本当はサッカーを続けたいのに、それができない状況に鬱々とした毎日を過ごしている。自分のことで手一杯なのだ。目的の違うふたりの物語を、どのように繋げるのかと思ったのだが、ミステリという形で決着を付けている。
リードではまったく触れられていないけれど、本作は、青春ミステリである(売り方間違えてないですか)。従来のミステリのように、探偵役が犯人を指摘して謎解きを始める、といった形ではなく、少年が過去の記憶を克服していく過程で、真相が徐々に解ってくるという展開がたまらない。読み返してみると、真相に至る情報は、きちんと提示されている。本編、「青の欄外」を、「電子の泡」という7年後の物語の前編と後編で挟むといった構成。しかし、7年後で囲った仕掛けは解りにくい。百合の色という意味掛けか、という想像はつくものの、解答は記されていない。
惹句にミステリの文字を入れなかったのは、あくまで文学として売りたい、ということだったのだろうか。はっきり言って、本作の文章は固く説明が多いし、サッカーに関する知識や情報が圧倒的で、とても高校生の一人称とは思えない。それでいてコメディのようなやり取りがたまにあり、どうにもちぐはぐに感じる。この文体なりのユーモアの書き方というのがあるだろうに。ちぐはぐというのなら、ヒロインの少女がスタンガンを持って戦う女の子らしくない雰囲気と、それ以外のやけに女の子らしい振る舞いにも、多少の違和感があった。妙な形で、ライトノベル要素を入れているような。仮に、本作が天原聖海氏の『ファイナリスト/M』と同時期に投稿されていたとしても、流水大賞がミステリの賞ではない以上、やはり、大賞はこちらだったと思う。
表紙イラストというかカバーイラストというか、鏡征爾氏本人が描かれていたことに驚いた。『パンドラVol.3』での刊行告知でも、本人がイラストを描かれており、それも収録されるのだろうと思っていたけれど、イラストの収録はなし。また、ここでの告知ではXXXに、聖十字学園というルビが振ってあったのだが、本作では表記されていなかった。どうでも良いけれど、ビブスという言葉を久し振りに聞いた。僕も×岡にいたころは、サッカーをやっていたような。
No.352
2009/07/21 (Tue) 00:02:06
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「じゃあ、僕はどうしたら良いわけ?」
「あんたにできることなんて、特に、何も無いんじゃない?」
■天原聖海氏の『ファイナリスト/M』を読了。原稿が届いてから1年半、座談会から1年以上が経過。この作品のための、単独での座談会も開催され、2008年冬発売だったものが、半年ほど延びて、ようやくの発売。待ちに待った作品だったので、1890円という価格に唸ったものの、やはり購入。
「小説以外」
予想はしていたけれど、やたら分厚い。応募当時で、原稿用紙1577枚だったそうで、この厚さになるのは納得。文字数を計算したら、1700枚を超えていた。その分、値段が高くなる訳だけど。ちなみに、清涼院流水氏の『コズミック』、辻村深月氏の『冷たい校舎の時は止まる』が、それぞれ約1400枚。本作は、その分量のせいか、講談社BOXでは、行数も文字数ももっとも多く、紙も薄いものを使用している。分量は多いけれど、『コズミック』よりはコンパクト。
表紙イラストは、本編主人公の二ノ宮鷹史と人工知能付きパソコン、メルクリウス。裏表紙の人物が、最初は誰だか解らなかった。二ノ宮鳩子の髪飾りが鳩なのは、突っ込みどころかもしれない。
「D-Iグランプリ 1回戦~4回戦」
D-I GRAND-PRIX、日本最強頭脳、名探偵決定戦。探偵日本一を決めるトーナメントテレビ番組に出場することになった、二ノ宮鷹史19歳無職は、AI搭載パソコンメリクリウスの助けを借りて、探偵日本一を目指す、というのが大雑把な粗筋。
サイト上で行われた、1次予選、2次予選通過者、507名が日本武道館に集まり、D-Iグランプリが始まる。1回戦は、持ち込み可能なペーパテスト。メルクリウスを用い、二ノ宮くんはトップで通過。2回戦は、コンピュータを利用した「変則ポーカー」。これはのちに、犯罪捜査の手順を記号化したもの、という解答が鳩子から語られるのだけど、二ノ宮くん自身は、そんなことに気づきもしないので、運良く勝ったという印象が否めない。ルールは結構練ってあったので、もう少し深く書くこともできただろうに、あっさりと書いている。
3回戦の「七つ墓村推理コンペ」、奥多摩山中に用意された、連続殺人事件が発生した村。事件の資料と現場の遺留品から、犯人候補の中にいる犯人を指摘するというもの。ただし、この事件で二ノ宮くんが敗退してしまうので、事件の詳細は語られない。そして、敗者復活入れ替え戦「暗闇でドッキリ! ハイド・アンド・シーク」に繋がり、二ノ宮くんは4回戦に出場できることになるのだが、ここまで推理の要素がほとんどない。ミステリでもない。この展開は、面白くないだろう、と思い始めていた。
4回戦の「六時間耐久・バトルロイヤル鬼ごっこ」、東京23区内に散らばった、4チーム8人によるサバイバルゲームという設定に、ようやく面白さを感じ始めた。『スパイラル』の歩と理緒の再戦のように、白熱した勝負を期待していたのだけれど。これは、鳩子やその友人の桐子が言うように、拍子抜けの結末で、つまらない。これほど魅力的なゲーム設定を作っておいて、なんでこのような扱いにしてしまうのか。二ノ宮くんは、同じチームになった、私立探偵の斯波斗志希とお茶をして、あとは逃げ続けるだけだったし。
単独座談会では、「1回戦から4回戦も熱量を持って書かれている」とあって、それはまあ、一定の水準を維持してはいるけれど、ちょっと予想とは違っていた。「純粋な推理小説ならば、孤島での殺人事件以降だけで成立する」とも言われていたので、まだ、推理小説展開には至らないのだろうけど、面白いと思える要素がほとんどなかったのが残念。1回戦~4回戦、目次でいうと第1章までで、文庫本1冊分もあったのに。
というか、感想として書きたいことは、まだ何も書いていないのに、ここまでの長さになってしまった。決勝戦、孤島での連続殺人事件の感想は、また後日。
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キタヤマ
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HN:
ミズサワ
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男性
職業:
求職中
自己紹介:
初めまして。ミズサワです。あの「失われた」90年代に、10代の総てを消費しました。
ミジンコライフ継続中。
ミズサワの3分1は「さだまさし氏の曲」で、3分の1は「御嶽山百草丸」で、残りの3分の1は「××××」で構成されています。
小説・コミック・アニメ・ゲーム・等、媒体に拘わらず、あらゆる物語を好みます。付き合いが長いのは「新本格」作品。卒業論文も「新本格」。論理性よりも、意外性を重視。
「すべての小説が館ミステリになればいい」
ブログ日記のコンテンツ
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・偶数月同日日 現時点での視聴番組リスト
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