ジパング (23) モーニングKC 講談社 2006-04-21 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

「雅行を守るために最善を尽くした　その結果だ…　負けとは思わない…」

■『ジパング23』を読了。帝国海軍、米海軍、「みらい」乗員の三つ巴。「みらい」に交渉材料としての価値はなくなり、「みらい」乗員は無人島に収容されてしまう。そのような状況でありながら、負けとは思わない、「みらい」は必ず取り戻せる、と信じる角松。甘いな、と思わなくもないけれど、角松はずっとこうだったし。一命を取り留めたとはいえ、菊池との折り合いが付いた訳ではない。菊池が再び帝国海軍側に立つのか、それとも「みらい」へ戻るのか。南京での原爆完成が間近に迫り、梅津艦長がそれを阻止して亡くなったことが、「みらい」乗員に伝わっていくことで、おそらく状況は動き出すだろう。

LIAR GAME 9 (ヤングジャンプコミックス) 集英社 2009-08-19 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

「その通り　このゲームの本質はそこなのです　感染ゲームは『信用』のゲーム　『信じた者』『信じられた者』が勝つゲーム」

■『LIAR GAME9』を読了。帯には、ドラマの第2シーズン、映画化決定の報せ。原作に忠実か、まったくの完全オリジナルか、どちらかに統一して欲しいものだけど。本巻は、4回戦予選、感染（パンデミック）ゲーム。当初からこのゲームの構想があったのか、新型インフルエンザの流行によって新たに構想したのか、興味深いところ。しかし、ゲームの説明が解りにくい。トリックのためのトリックというか、説明のための説明になっている。感染者の広がりを図に書いて説明するというのがテンポを崩す。まあ、参加者すべてが、頭の中だけで把握できる訳ではない、ということだろう。
　カンザキナオが、バカ正直のナオであるのは変わらないものの、徐々に賢くなってきている。そのうちアキヤマと並びそうなくらいに。ワトソン役の知能が上がってしまうと、読む方にはきつい。アキヤマはアキヤマで、電子基板の機械にも詳しいらしい。心理学以外にも長けてはいるだろうけど、あと付けで設定がどんどん増えていくような気もする。とはいえ、アキヤマとヨコヤの再戦は、やはり面白い。
　オマケ漫画で、甲斐谷忍氏がサラリーマン時代、仕事と睡眠以外は、すべて漫画を描く生活をしていたことに感銘を受けた。やはり、書く人というのは、どのような状況であれ、書いてしまうのだよな。

新ブラックジャックによろしく 5 移植編 (ビッグコミックススペシャル) 小学館 2008-10 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

■『新ブラックジャックによろしく5』を読了。雨宮早希氏の『EM（エンバーミング）』シリーズでも、読みたくないような描写があったけれど、小説だからどうにか堪えられたというだけで、漫画でリアルに描写されるのはきつい。臓器移植、ドナーカード、という言葉は耳にする機会が増えてきたとはいえ、「言葉」と「現実」はまったく違うことだろう。臓器を提供する意志が亡くなった当人にあったとしても、臓器提供によって更につらい思いをするのは、その家族である。

バクマン。 4 (ジャンプコミックス) 小畑 健 集英社 2009-08-04 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

「君の今の人気はルックスでの人気なんだ　わかっていないのか　声優としての君に　写真集なんて話は来ない」

■『バクマン。4』を読了。ルックス重視であれば、グレープなんて売れやしないし。ミステリとしては貧弱だが小説としては素晴らしい、と言って受賞させるミステリの新人賞もある訳だし。本末転倒な業界はたくさんだよ、などと思ったのは、表紙が新人声優の小豆さんだったからで。次巻の表紙が三吉のような流れだけれど。
　あらすじでは、最高と秋人のコンビ解消がメインに語られていて、実際、その話から始まるのだが、再結成からの展開が面白いので、コンビ解消してたっけ、と思ってしまうくらい。作中でも、解散していたのは1カ月だけだったし。それにしても、原作の大場つぐみ氏は、相変わらず言葉に気を配っているようで、最高は「探偵もの」、秋人は「推理もの」という科白で統一している。そう考えると、秋人が作ったネーム、「透明探偵スケルトン」というのは、本来の意味ではなく、一般に知られている誤用で使っている模様。
　今回、金未来杯参加者＋新妻エイジで、互いのネームを見せ合って、意見を言い合うために集まるのだけれど、そのメンバがみんな個性的。ストキン準キングの蒼樹紅嬢は、「私の作品が一番面白いと思うので　他の作品に意見するのは控えます」という自信。一方、蒼樹嬢に、表現が暴力的だと言われた福田真太は、「少年マンガってもっと不健全な作品がいっぱいあっていいんだよ　聖書や教科書じゃないんだ　PTAを敵に回すくらいが面白え」と切り返す。このふたりと一緒だと、亜城木夢叶（最高と秋人のPN）はかなり大人しく見える。蒼樹嬢の原作ならなんでも描くよ、という感じの中井さんも、それはそれで良いのでは。
　会議は無駄だとか、時間がもったいないとか、そのような印象があったけれど、連載会議の回が、面白過ぎる。資料片手に、おっさんたちが、ありだなしだと言っているだけなのに。しかし、編集部の人たちって、皆、ラフな格好だよな。僕もいつか、スーツやネクタイの要らない仕事をしてみたい。

PLUTO 8 (ビッグコミックス) 手塚 治虫 小学館 2009-06-30 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

■「PLUTO8」を読了。21世紀版、鉄腕アトム、最終巻。伏線が次々と回収されていき、プルートゥの真相に迫っていく。地球を滅ぼす数式やら、反陽子爆弾の解体やら、白熱する展開続き。地上最強のロボットはアトムだったのかとか、主人公はプルートゥだったのだなとか、そのように考えるのは野暮かもしれない。憎しみからは何も生まれない、という感情を、ロボットが理解するというのは、いろいろと考えさせられそうな。

天元突破グレンラガン(4) (電撃コミックス) 中島かずき アスキー・メディアワークス 2009-06-27 売り上げランキング : 14936 Amazonで詳しく見る by G-Tools

「その時　俺は決めたんだ　一度目標を決めたら絶対に揺るがない　あの背中に笑われないねェ男になる…ってよ」

■『天元突破グレンラガン4』を読了。新章開始ということか、カバーの色が変わっていたため、平台に積まれているのに気がつかなった。表紙は今巻初登場のニアなのだけど、どうも、他のキャラクタたちとは雰囲気が違うというか、世界観が違うというか、アニメではそうは思わなかったけれど、どうしてかね。やさぐれているシモンを救ったのがニアで、主人公が立ち直るのは女の子を守るため、という王道的な展開なのに、とても面白い。最後の数ページで、シモンが立ち直ったのは幸い。そうでなければ、4巻は全部、やさぐれ鬱々主人公で終わってしまうところだった。

ジパング (22) (モーニングKC (1502)) 講談社 2006-02-23 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

「あの人…　頭はキレるけどどこか弱いから　意味を求めてしまう 戦うための“義”とか　生きるための“理想”みたいな…」

■『ジパング22』を読了。この格好いいお兄さん誰、と思ったら、眼鏡を外した菊池三佐だった。イラスト媒体だからこそ、といった手法でもある。タラワにて作戦行動中、ふたりきりで残された、角松と菊池。帰艦するのが、どちらかひとりなら、「みらい」はひとつに纏まる。救助に来た麻生によって、菊池が撃たれるのだが、麻生の勘違いも、仕方のないところ。米兵を狙おうとして、麻生の射線に運悪く入っていた、と菊池自身が言うのなら、それを信じるしかないだろう。巻末に、かわぐちかいじ氏のインタビューを収録。独自の日本人観を語っている。

のだめカンタービレ #20 (講談社コミックスキス) 講談社 2008-03-13 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

■『のだめカンタービレ20』を読了。カントナ国際コンクール二次予選。のだめと千秋以外、つまりは主役以外が参加するコンクールなのだけれど、それを感じさせないところがすごい。登場時は、単なる脇役かと思っていたキャラクタが、主役とほぼ同等の扱いをされている。それぞれのキャラクタごとに、ファンが付いているのだろう。僕は、主役の千秋よりも、武士の黒木くんの方が好きだし。

ジパング (21) (モーニングKC (1482)) 講談社 2005-12-22 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

「いや…　たとえ貴艦が沈んでも…　我々は泳いででも　パラオに着いてみせる！！」

■『ジパング21』を読了。白熱する展開続き。日本人同士の戦い、駆逐艦「島風」対潜水艦「伊号」。そして、パラオにて、出港直前の「みらい」との再会。かつて、袂を分かった仲間たちが、再び一堂に会する訳で、角松にしろ、菊池にしろ、お互いの信念は揺らいでいないのだから、「みらい」をひとつに纏めようがないではないか。あるいは、誰が、どのような形でまとめるのか。次巻予告の科白が意味深過ぎて、以降の展開が、非常に楽しみである。

Dr.コトー診療所 (20) (ヤングサンデーコミックス) 小学館 2006-10-05 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

「これから先、こんなことはいくらでもある。今、無理だと言うんなら、この島では看護師は務まらない。君が務まる病院を、探したほうがいい」

■『Dr.コトー診療所20』を読了。星野さんの代わりの看護師が島に到着。思った以上にお若いですねと言われて、二十歳は超えてますからという切り返しはすごいな。しかし彼女のエピソードは先送りで、今巻は、江葉都と鳴海の物語が中心。本シリーズは、サブタイトルすべてに、「Dr.コトー、許可する」や「Dr.コトー、叱咤する」など、「Dr.コトー」が頭に付いているので、コトー先生の知らない島でのエピソードをどのように描くのだ、と思っていたら、「もうひとつのカルテ」というタイトルでの掲載だった。しかし、双子だと思わせていた相手が、本当に双子だったという解答は、ある意味新しいのでは。

MAJOR(メジャー) 72 (少年サンデーコミックス) 小学館 2009-06-18 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

「間違いじゃない、代われクラーク。　もう何点取られてもいっしょだと思ってるやつは投げなくていい」

■『MAJOR72』を読了。毎回のことではあるが、25年振りの地区優勝を目前にして、吾朗の故障。少年時代は、肩を壊しても、その試合に勝てたらいいと無理をしてきた吾朗だけれど、さすがにメジャーの選手ともなると、そうはいかない。自分から病院にも行ったし、と思いきや、優勝が決まるまでは、故障を隠し通そうとするのは、少年時代と変わらず。

バクマン。 3 (ジャンプコミックス) 小畑 健 集英社 2009-06-04 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

「編集部が自信を持って始めた新連載なら　せめてコミックスが出るくらいまでは　見守るべきだと思うんです」
「全部の新連載にそんな余裕与えたら　年に5本くらいしか新連載起こせなくなるし　上位のマンガまで打ち切らなくてはならなくなる」

■『バクマン。3』を読了。仕事場や編集部で丁々発止のやり取りを続けているだけで、動きというものはほとんどないのだが、相変わらず面白い。バトルマンガがジャンプの王道だ、と作中で言わせておきながら、動きよりも、話や思考が多い漫画を連載するとは、大場つぐみ氏の発想は、やはりすごい。また、最高と秋人が、服部と言い争う場面や、新妻エイジと対面する場面は、中途半端なバトルマンガよりも迫力がある。さすがは、小畑健氏と言うしかない。
　初登場ではとても嫌な奴みたいな描かれ方をしていたけれど、新妻エイジは、とても素直で良い少年だった。まあ、話し方とか行動とかが、一般とは離れているというだけ。エイジの手伝いに入ったときこそ、アシスタント仲間が険悪に思えたものの、最終的には、エイジの連載をどのように面白くするか、と皆で協力し始めて。このようなやりとりが実際に、ジャンプで行われているのであれば、本当に面白い漫画を描く人がジャンプに集まるよなあ。
　作中人物が歳を取る形式なので、本作の年代から計算したところ、最高と秋人、新妻エイジ、福田真太は、平成以降、90年代の生まれ。ベテランアシスタント、33歳の中井さんが、若い世代に追い抜かれて、愕然とするのももっともか。ということは、現在連載されている漫画で、主人公が10代の作品というのは、皆、平成生まれなのか(ﾉﾟ⊿ﾟ)ﾉびっくり！！　消費税が標準装備で、プルタブを飛ばして遊んだこともないのだな。
　些細なことだけれど。秋人と三吉のデートで、秋人が、「ボウリング」に行くかどうかを訊ね、三吉が「ボーリング」と答えていて、大場氏は言葉に気を配っている方だな、と感じた。それは、的を射る、行き詰まったという言葉遣いからも明らかである。

未来日記 (8) (角川コミックス・エース 129-13) 角川グループパブリッシング 2009-05-26 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

■『未来日記8』を読了。死人出まくり。殺しまくり。由乃がおかしい（躊躇いもなく人を殺す）のは最初からだったけれど、雪輝がついに一線を越えてしまう。両親が死んでしまい、ふたりを生き返らすため、神を目指す決断をする訳だが、ゲームに参加する目的が、ここでようやくはっきりするというのは遅過ぎる。なんというか、そのような、優柔不断な、らしからぬ主人公なのだ。だからまあ、はったりとはいえ、イレブンスの正体を見破った場面には感服。ついに主人公らしくなったよ、と思ったのに、最後で由乃の手を離してしまったのは、やはりいつもの臆病な雪輝に戻っている訳で。

のだめカンタービレ (19) (講談社コミックスKiss (673巻)) 講談社 2007-11-13 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

■『のだめカンタービレ19』を読了。裏表紙の粗筋に、あの男がパリの地に立つと書いてあって、誰かと思ったら、R☆Sの峰くんだった。しかし、のだめ同様、日本にいたとき同じノリというのはすごいな。舞台がパリになっているのを忘れてしまうくらい。もはや、日本を舞台にしなくとも、日本国籍でない人たちが登場していようと、ほとんど気にならない時代になっているということか。

金田一少年の事件簿 9 極厚愛蔵版 (KCデラックス) 講談社 2009-05-15 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

■『極厚愛蔵版　金田一少年の事件簿9』収録、「黒死蝶殺人事件」を読了。誰が犯人かまったく覚えていなかった。『金田一少年』は、連載時に『マガジン』で読んで、コミックで読んで、しばらく経って再読していたのに、すっかり忘れていた。というのは、この事件の犯人がすごく地味で、犯人をかばう人物の方にインパクトがあったため、この人は犯人ではなかったよな、と思ってしまったのだ。
　ところで、極厚愛蔵版は余り売れていないようである。僕がオオアリクイの書店で働いていたときも、通常コミックサイズ、現在不定期連載中の第2期の方はやたらと数が入ったのに、極厚愛蔵版は、わずか数冊しか入らなかった。かつて、400円くらいで出ていたコミックを集めていた側からすると、1,000円弱で買えるのは、非常に得な気がするのだが。総集編も文庫版も買わなかったのに、極厚愛蔵版を買うことにしたのは、最初に読んで数年が経っているからという理由の他に、値段が安いからという理由も大きい。